デザイン画集
美を追求し、美に惑わされ。
【Pt900 ダイヤ リング】デザイン画
ダイヤといえば・・・
こんな質問がきたとしたら、やはり答えは
【ラウンド・ブリリアント・カット!】となるのでしょうか。
上部から取り込んだ光を、全反射して周囲に解き放つカットが施された
【ラウンド・ブリリアント・カット】は、
それを身につける者の欲望を
人類の英知が叶えた象徴と言えるかもしれません。
この輝きは人の心を惑わせ、もてあそぶ。
ときに人は他人を傷つけてでさえ、この輝きを手に入れたくなる事実は、
歴史をひも解くまでもない。
たったひとつのダイヤモンドをめぐって歴史がつづられ、語り継がれる。
名のあるダイヤモンドの動きをたどれば、
歴史的な動乱、革命をめぐる旅になる。
国家の栄枯盛衰の闇の部分で、ダイヤモンドが動いていたりもする。
ダイヤモンドに狂い惑わされるのは人間。
そのダイヤモンドに美しいカットを施すのも、また人間。
知っているよ、頑張っている君を見ているよ。
【K18wg 陶器 ペンダント】デザイン画
長くこの仕事をしていると、じつに多様な依頼が舞い込みます。
ジュエリー以外の部品の製造を依頼される事もあれば、
ご覧のように宝石以外のモノをペンダントにする依頼もございます。
陶器は繊細な素材であるため、
制作過程の大半は実物と同じ形状の模型で進めていきます。
この模型、
形状はもちろん、その重さまで実物同様に作ることでスイングの度合いや、
土台部分の爪の強度が計られます。
制作の最終工程になると模型ははずされ、
極度の緊張感の中で実物の陶器が留められるという運びです。
完成したジュエリーが華やかな光の世界で注目を集めるのとは裏腹に、
役目を終えた模型は舞台裏へと消えてゆく・・・。
思い返せば、
誕生から影の存在として生みだされ、
その活躍に光が当たることは決してない模型。
姿かたちは実物に酷似していようとも、表舞台で注目されることはなく、
役目を終えれば破棄される運命の模型。
嗚呼、模型よ。
私は知っているよ。
頑張っている君を見ているよ。
もはや、宇宙の摂理デス。
【K18wg パール リング】デザイン画
ふわりとしたピンク色を含んだ、
上質のアコヤパールをデザインする時は、
指の上に静かにたたずむように仕立てるといいですね。
主張が少な目のデザインでパールを支えることで、
上品な雰囲気を漂わせることができます。
さて、
こんなデザインを好まれるのは美しく気品あふれる女性と決まってます。
立ち居振る舞いが穏やかな、優しい女性と相場が決まってます。
太陽が東からあがるように、
上質のパールは優しい女性が装います。
空想力と妄想力を、研ぎ澄ます。
【Pt900K18 オパール リング】デザイン画②
このラフ画を見ると、
前回のこのコーナーで紹介したデザイン画のご依頼主が、
デザイン相談時にどんな紆余曲折を経たかがよくわかりますね。
リフォームや、オーダーは、ここに存在しないものを生み出す行為なので、
ご依頼主には想像力を働かせていただき、
未来でそのジュエリーを身につけているご自身をイメージしていただくことになります。
空想の世界では、
完成したジュエリーを身につけて、いろんなポーズをとっていただきます。
この空想力が強いほど、
リフォームは成功に近づくと思います。
デザイン相談の現場で描かれるさまざまなバージョンを、
空想の世界で存分にお楽しみいただき、
ご依頼ください。
未来予想図ができるまで。
【Pt900K18 オパール リング】デザイン画①
ユニークな形状のオーストラリアオパールを、
最終的にご覧のデザインで仕立てるとしても、
この決定図案に至るまでには様々な紆余曲折を経ております。
依頼主の好みはもちろん、
費用対効果も十分に考慮されています。
「リング部分はぎっしりとメレダイヤを留めて、華やかにしようか・・・」
「オパールの土台部はプラチナで・・・」
「サイズは#14にしようか#15にしようか・・・」
などなど、ご依頼主はデザイン相談の中で、どんな仕立てにしたら、
これから先の自分に最適かを何パターンも検証するのです。
そんなデザイン相談中のラフ画は、
依頼主の【未来予想図】とも呼べるでしょう。
今回の依頼主が、自身の未来をイメージした経緯を、
次回のこのコーナーでご紹介しますね。
お楽しみに~。
いやもう、すっかり忘れてまして。
【Pt900K18 サファイア ペンダント】デザイン画
おっ!これは少し前にお仕立てしたペンダントですね。
あの時のことはよーく憶えてます。
このデザインは、ご依頼主が
上部に埋め込まれている小さなサファイアをご持参いただいたのが、
そもそものきっかけでした。
小さなサファイアなのでシンプルにペンダントにしてしまうと、
どうにも存在感に欠ける。
そこで、
「何か周囲に飾りをつけましょう」
という流れになりました。
デザイン相談がはじまり、
お客様のお好みなどを伺ってましたら、
「楽器」というキーワードにたどりついたのです。
そこからさらにお好みを掘り下げていくうちに、
オモシロイことになりました・・・。
お客様も私も、
サファイアのことなどすっかり忘れて、楽器のデザインに集中?!
デザインが固まってきた頃になって
ようやくサファイアの存在に気がつき、
「はっ!・・・こ、この辺に留めときましょうか?」と私。
「あはは、そうね、その辺に留めといてよ」とお客様。
いい人が多いんです、研磨職人って。
【Pt900 ブルートパーズ ペンダント】デザイン画
この項をご覧頂いている皆さんの中に、
宝石の原石を見たことがある方がどのくらいいるか存じませんが、
研磨が施される前の原石はじつに鈍い発色で、
「魅力のカケラも見いだせない」
と言っても過言ではないでしょう。
道ばたに落ちていても誰も拾わないだろうし、
宝石だと気づく人もいないと思います。
そんな原石を
目もくらむような美しさに変貌させるのが、
研磨職人であります。
ゴツゴツした石ころだったトパーズを綿密に計算し、
ツヤツヤとした12枚のかわいい花びらに変貌させてしまうのですから驚きです。
豊富な経験をつんだ研磨師になると、
「ココんところもうチョットだけ削って、ピタッと石がくっつくようにしてくれます?」
とお願いすると、
「まったくしょーがねーなー」
なんて言いながらも正確に削ってくれますし、
「ペンダントにする予定なんで、厚みを少なくカットして欲しんだけど・・・」
なんて要望も、
「そんなのデザインの方で何とかすりゃーいーじゃねーか!まったく」
なんて言いながらも快く引き受けてくれる、
憎めない人たちです(*^^)v
そりゃもう、ブルブルふるえてますよ。
【Pt900K18 パール ペンダント】デザイン画
イヤリングはバネのパーツをつけなければ耳につけられませんし、
ピアスにはピアス針が必要で、
ブローチには裏側にブローチ針が無ければ衣服につけることができません。
同様にペンダントにも
【バチカン】
と呼ばれるチェーンを通すところが絶対に必要となります。
さて、
ふんわりと丸いパールを、トンボのデザインでペンダントにするさい、
「ハイできました!」
と最上部に出来合いの3角形のバチカンを付けたとしたら、
私はお客様から、ブーイングの雨あられ・・・でしょうねきっと(^_^;)
そのため私は、
デザインをもうひとひねりしなければいけません。
「トンボは上部に付けてと・・・
まっすぐつけると芸が無いから、ナナメにして・・・
尻尾をクルッと巻いてそこにチェーンを通そうか・・・
どうせなら羽でパールを抱きかかえてみようか・・・」
などなど。
お客様に叱られないように、叱られないようにと、
本日もビクビクしながら デザインにいそしむ私です<(_ _)>
変態の末裔が、もの思ふ。
【Pt900 ルビー ピアス】デザイン画
イヤリングやピアスの起源を深く考えてみると、
じつに装飾性のつよいアイテムだと気づかされます。
ネックレスやリングの起源は、
例えば収穫物や戦利品を
「ちょっと首にかけておこう」とか「ちょっと指にひっかけておこう」
・・・的な起源と考えれば、なんとなく想像しやすいですね。
しかしイヤリングとなると
「この荷物、ちょっと耳にひっかけておこう」
・・・的な起源とは考えにくく、
そんなことするのは変人か変態だけと思いません?
我々の祖先が常識人であった(笑)と信じるならば、
イヤリングというアイテムは、
あくまで装飾を目的として生まれた文化ではないかと考えられます。
昔むかし、
我々は言葉を持つ遥か以前から、身を装飾していました。
ネックレスやリングには「その他」の目的があったかもしれませんが、
イヤリングの目的はたったひとつ
「美しく身を飾る」
であったと信じたい。
さもないと、
我々の祖先が変態ってことになってしまいますでしょう?
今やれ、スグやれ、早くやれ。
【Pt900/K18 ルビー ペンダント】デザイン画
大小さまざまなダイヤモンドと、
コロンとしたルビーが、この時の課題でした。
個性豊かなそれぞれの宝石たちをキャスティングし、
作品の中で生き生きと演じさせるのが、私の仕事といえます。
宝石たちを持参されたご依頼主にとっては、十年来の友かもしれませんが、
私にとってはその日初めて出会った宝石たち。
何年もの間、宝石たちをしまいこんでいたご依頼主の多くは
「今すぐデザインして欲しい」と要望されますので、
「んー、ちょっと2,3日考えさせていただいて・・・」
なんてことは言えない空気が現場を満たしております。
「あんたそれでもデザイナーなの?!」と怒られる前に、
いち早く気のきいたデザインをしなければいけない現場で、
ご覧のデザイン画も描かれたわけでして・・・